こんにちは!動物看護師のなのです。
少しずつ普及が広まってきたペットドック。
健康診断の大切さはわかっているものの、実際どんな検査をするのか、それらの検査で具体的に何がわかるのかわからないなんてこと、ありますよね。
「動物病院は病気になったときに行くところ」と考えている飼い主さんも多いと思います。
結論から言うと、ペットドックは健康なうちから受けることをおすすめします!
この記事では、動物看護師として、一人の愛犬家として、動物の健康診断【ペットドック(ドッグドック、キャットドック)】での検査内容、どのようなことがわかるか、ペットドックを受けるメリットについて解説します。
目次
ペットドックとは、動物の健康診断
ペットドックは、その名の通りペットの健康診断のこと。
人間ドックのペット版です。
ドッグドック、キャットドックなどとも呼ばれます。
持病がある場合は状態のチェックも兼ねて、そのほか体の機能に異常がないかも調べます。
動物病院によって料金設定は異なりますので、電話で問い合わせると犬種や体重などから料金を算出してくれます。
ちなみに、ペット保険では「健康診断」は適用外であることが多いため、ペット保険に加入していても全額負担となります。
ペットドックの検診内容とわかること
今回は、愛犬がお世話になっている動物病院の健康診断メニューの中で、一番グレードの高いペットドックをお願いしました。
《今回の診察内容》
- 視診・触診・聴診
- 一般血液検査
- 血液生化学検査
- 尿検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
検診当日は朝ごはんを抜きます。
検査後に動物病院で食べさせてくれるので、一食分のフードを持参して行きました。
ドッグドックの検査内容と、各検査でわかることを簡単に解説します。
視診・触診・聴診
獣医さんによる視診・触診・聴診。いわゆる身体検査です。
日々、愛犬の健康チェックをしている飼い主さんは多いと思いますが、やっぱり素人目には見逃す兆候もあるんです。
獣医師は獣医療のプロ。
診て、触れて、体内の音を聴いて、異常がないかをチェックします。
骨格・歩き方や立ち姿に異常はないか、リンパの腫れ、浮腫、また眼や鼻、耳、口腔内、心音なども診てもらえます。
日々多くの動物を診ている獣医師だからこそ、身体検査で発見できる異常があるのです。
血液検査
血液検査では、各数値をチェックします。
血液検査には、主に以下の2つ種類があります。
- 一般血液検査(日常的に行われる血液検査)
赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビンの数値をチェック - 血液生化学検査(より詳しい血液検査)
血液に化学反応を起こさせ、ホルモンや酵素などのはたらきを調べる血液検査
血液の成分が基準値外になると、体の中で何がおこっているかが予測できます。
さらに詳しく調べると、表面的には症状があらわれていなくても病気が見つかることがあるのです。
特に、沈黙の臓器と呼ばれる肝臓や腎臓などの疾患は、かなり病状が進まないと、目に見える症状が出ないことがあり、そのころには手のほどこしようがない、といったケースがあります。
もちろん、基準値から外れていたからといってすべて病気が隠れているというわけではありませんが、体の中や内臓がきちんとはたらいているかを知る手がかりになるのが、血液検査です。
ちなみに、血液成分には犬猫でそれぞれ基準値がありますが、基準値とされている幅は広く、個体差があります。
そのコによって基準値が違うため、健康な状態での基準値のデータを知っておくことが大切。
記憶しておく必要はないので、ペットドックで貰う血液検査データをきちんと保管しておくと、初めての動物病院にかかるときにも安心です。
尿検査
尿検査では、主に腎機能の状態を調べます。
腎臓は尿をつくる大切な臓器です。
しかし、腎臓がうまくはたらかなくなっても症状としてあらわれるのは、腎機能の75%以上が悪くなってから。そのため、沈黙の臓器とも呼ばれます。
血液検査なら、腎臓が本来の持つ機能が50%以下になると数値として異常があらわれるので、病気の早期発見が可能です。
おしっこは血液や体の水分からでた老廃物。
排泄出来なくなると毒素が体に回り、さまざまな病気の原因にもなるため、尿検査は重要な検査の1つです。
レントゲン
レントゲンでは骨格や肺の異常、内臓の形、大きさや位置などを確認することができます。
消化器系に異常や異物がないか、肺に影がないかなどの検査としても用いられます。
ペットドックでは、主に体幹部分のみレントゲンを撮ることが多いです。
胸部・腹部の超音波検査
超音波では、内臓の内部の状態を調べます。
動きに異常がないか、異物が溜まっていないか、影はないか、腫瘍はないかなどを確認することができます。
内臓の内部まで評価できるのが、超音波検査です。
ペットドックを受ける3つのメリット
ペットドックを推奨しているわたしですが、こうやって定期的に健康診断をしてもらっているのは今の愛犬と暮らすようになってからのことです。
実際にペットドッグを受けてきた経験と、動物看護師としてペットドックを受ける患者さんと関わる中で感じた、3つのメリットがあります。
- 病気・以上の早期発見ができる
- 日頃の疑問を専門家に直接相談できる
- 動物の「健康」と向き合う時間が持てる
病気・異常の早期発見ができる
動物は言葉を話せない上に、本能的に体調が悪くても平気なフリをします。
野生下では「ボク弱ってるよ〜狙ってもいいよ〜」とアピールしてしまうことになるからです。
でも、ペットドックを受けることで、自己申告することが出来ないペットの体の状態を知る事ができ、病気の早期発見・早期治療にも繋がります。
早めに対処することで病気の進行を抑えたり、薬を使わずに体質改善をすること対応できることもあります。
「知る」「発見」は健康維持のために大切なことなんです。
日頃の疑問を専門家に直接相談できる
動物病院は「病気の動物の治療をするところ」だけと思われがちですが、「動物の健康を守る」機関でもあります。
ネットや本にもたくさん情報は転がっていますが、動物の状態を「診断」できるのは獣医師しかいません。
ペットの状態を診てもらったうえで相談に乗ってもらうことができるので、そうした意味でもペットドックはオススメです。
ペットドックの機会に、日頃感じている疑問点なども相談してみてくださいね!
動物の「健康」と向き合う時間が持てる
ペットドックは、一緒に暮らす動物の健康としっかり向き合える時間。
命があることは、本当に尊いことです。どんな命も永遠ではありませんから。
動物看護師という仕事を通して感じるのは、やっぱりどんなコも、一番大好きなのは飼い主さんなんだなということ。
診察や入院で、獣医師や動物看護師にどれだけ愛想を振りまいてくれる子だって、やっぱり飼い主さんの声やニオイ、姿を感じると、顔つきや反応が変わります。
寝たきりになっても、飼い主さんがそばに来ると心拍数が上がる、体温が上がるシーンもたくさん見てきました。
ペットにとっては、飼い主さんが一番なんです。
大好きな飼い主さんと1秒でも長く一緒に生きたいという動物の気持ちを叶えるためにも、「動物の健康」について向き合う時間を作ってくれるペットドックはぜひ受けて欲しいんです。(動物病院嫌いのペットには嫌な思いをさせてしまうけれど・・!)
元気だからこそペットドックを受けよう!
医療の進歩により、ペットとして暮らす動物の寿命もぐんと伸びました。
長く一緒に生きられるということは、それだけ病気になる確率も高いということです。
もちろん、定期的な検診を行っていても隠れている病気があるかもしれませんし、どの世界にも「絶対」はありません。
ただ、これだけペットの寿命が伸びた現代、病気にならないことを目指すのではなく(もちろん予防も大切ですが)、重要なのは病気になったとき、早期に適切な対策や治療を行えるようにすることだとわたしは思っています。
この記事が、「ペットドックって何よ?」という疑問を、少しでもクリアに出来ていたら嬉しいです。
フィラリア薬をもらうついで、ワクチン接種のついでなど、かかりつけの動物病院に聞いてみて下さいね!
【おまけ】今回の診断結果と個人的に思ったことを残すよ

愛犬はトイプードル9歳、避妊済みのメスです。
良好ですねとGOODサインを貰いましたが「白内障」「胆泥(たんでい)症」「虹彩(こうさい)委縮」を指摘されました。
いずれも程度は軽く、今すぐどうこうなるものでもないそうで、様子見で良いとのこと。
白内障は年齢的にそろそろ出てくるかな・・と思っていたので覚悟はしていましたが・・兆候が出ていたようです。
いつまでも健康で長生きしてほしいけど、ちらほら機能の低下や病気の兆候が見られるとショックな反面、それだけ長い時間一緒に生きてきたんだなあとも思います。
これはこれで幸せなことですね。
いつか、愛犬の目が見えなくなるかもしれない未来を一瞬でも想像したら、見えている「今」をもっと大切にしようと思うことが出来ました。
これまで以上にアイコンタクトの時間を増やしたいなって思いました。
忙しい日々の中でつい忘れてしまうけれど、ティーさんが生きていてくれること、一緒に暮らせていること、わたしは本当に幸せに思います。